2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
江川 ひかり 立命館大学, 文学部, 助教授 (70319490)
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Keywords | バルケスィル / ビャーラ・チェルクヴァ / 都市民 / 村民 / 遊牧民 / 資産台帳 / イスラーム法廷文書 |
Research Abstract |
本研究は、トルコ共和国西北アナトリアのバルケスィル郡と、ブルガリア共和国内陸部ローヴェッチ州ビャーラ・チェルクヴァ町における19世紀の社会経済状況を、都市民、村民、遊牧民に着目して比較研究することを目的としている。筆者はすでに、バルケスィル郡に関する19世紀中葉の『資産台帳』の分析をおこなった結果、当時のバルケスィル郡に帰属する納税単位としての世帯数、職業構成、および各世帯が所有する動産・不動産の規模およびそれらの評価額等を明らかにしてきた。本研究はこのような数値として得られたデータを、別の史料ともつきあわせて二つの地域の社会を比較しようとする新たな試みである。 今年度は初年度であるため、まず第一に、イスタンブルの総理府オスマン古文書館において、ブルガリアのビャーラ・チェルクヴァ町に関する『資産台帳』およびその他の関連史料を閲読・収集した。その際、海外共同研究者のブルガリア・アカデミー研究員ステフカ・パルヴェヴァ氏とともに閲読、分析し、問題点を明らかにし、今後の研究のすすめかた等を確認した。その結果、次年度は、今年度収集した史料をすべてデータベース化し、それらの成果をもって、現地のビャーラ・チェルクヴァ町にステフカ・パルヴェヴァ氏とともに訪問する予定である。 第二の作業としては、バルケスィル郡に関するイスラーム法廷文書を解読し、当時のバルケスィル郡において、いかなる問題が法廷にもちこまれ、審理されたのか、それらの問題の内容、判決結果から何をどう読み解くのかに関して、理解を深めた。その際、海外共同研究者のマルマラ大学教授ミュジュテバ・イルギュレル氏を日本に招聘し、立命館大学の研究代表者の研究室にて、毎日、史料解読をおこなって、問題点を整理し、今後の研究方針をたてた。 以上の作業は、本研究の準備段階として位置付けられるために、今年度は具体的に論文等として出版されるまでににはいたらなかったが、次年度への出版を目指して、ブルガリアのビャーラ・チェルクヴァ町に関する『資産台帳』および土地証文文書の史料集を作成中である。
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Research Products
(1 results)