2006 Fiscal Year Annual Research Report
出産の社会史--17〜18世紀フランスの産科医の進出と助産婦の制度化を中心に--
Project/Area Number |
17520489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 まゆ帆 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (60192697)
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Keywords | フランス近世・近世史 / 身体 / 医療 / 出産 / ジェンダー / 宗教 / アンシャン・レジーム |
Research Abstract |
平成18年度は、研究計画に沿って、以下のような作業を進めた。 (1)近刊予定であったミネルヴァ書房の共著『近代ヨーロッパの探求 ジェンダー』に掲載予定の長谷川の論考(コタンタン半島の外科医兼産科医であったモヶ・ド・ラ・モットの助産に関する実証研究)に関して、ようやく初稿があがり、収集した図版や写真、コラム等を加え、加筆・修正を加えた。これは平成17年および18年度末に行ったフランスでの史料探索・調査の成果を基づくものである。出版間近であるが、現在出版社および他の執筆者の都合により、再び出版が先延ばしになっている。ミネルヴァ書房の編集部によると、平成19年度秋には出版されるとのことである。 (2)アルザス・ロレーヌに関しては、とりわけ18世紀の併合期のロレーヌでパリから派遣された地方長官であったアントワーヌ・ショーモン・ド・ラ・ガレジエールに関して、その出自を三代までさかのぼって検証し、まとめた。また彼が地方長官であった時期に行われた無料の助産婦養成学校の設置と王権の認可のもと全国を行脚していたマダム・デュ・クードレの講習からの影響について調べ、地方長官の思考の回路を地方長官補佐の意見書を基に明らかにし論文にまとめた。その論文はすでにできあがっており、現在発表に向けて準備中である。 (3)学位論文を完成させるためにすでに発表した研究をあらためて遂行しなおし、学術論文としての形をととのえるべく、全体の構成、形式、文章の遂行を重ねた。たとえばお産椅子についての新たな知見を付け加えるべく、中世末のお産椅子の記述など、関連する史料、図像を入手し、内容を吟味した。 (4)パリの国立図書館に通い、18世紀の身体や食、環境に関するとくに印刷本を探索し、この時代の助産における人々の認識や身体そのものへの関心の有り様を探った。 (5)日本の産科学に関する文献調査は随時行っているが、今年度はとりわけ18世紀後半から19世紀前に蘭学を通じてもたされたヨーロッパの産科学の情報について調べた。
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Research Products
(2 results)