2007 Fiscal Year Annual Research Report
出産の社会史-17〜18世紀フランスの産科医の進出と助産婦の制度化を中心に
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17520489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 まゆ帆 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (60192697)
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Keywords | フランス近世・近代史 / 身体 / 医療 / 出産 / ジェンダー / 宗教 / アンシャン・レジーム / 公共性 |
Research Abstract |
平成19年度は、研究計画に沿って、以下のような作業を進めた。 (1)平成19年度秋に出版される予定であった共著『近代ヨーロッパの探求ジェンダー』は、ミネルヴァ書房の都合により出版が再び延期されていたが、ようやく年度内に責了の運びとなった。この4月に入り出版されるはずであったが、いまのところまだ出版にはいたっていない。しかし近日中に出版されると思われる。その共著において筆者は、本科研費による研究の一部である、コタンタン半島の外科医兼産科医モケ・ド・ラ・モットの助産に関する実証研究を掲載している。タイトルは「救済の手と簒奪の手が-モケ・ド・ラ・モットの助産とジェンダ-」である。 (2)アルザス・ロレーヌに関しては、とりわけレーヌでパリから派遣された地方長官アントワーヌ・ショーモン・ド・ラ・ガレジエールに関して、その出自を三代までさかのぼって検証し、まとめたものがまもなく2008年5月に出版される運びとなった。予定では年度内に出版されるはずであったが、これも共著であり、執筆者の一人が原稿提出に間に合わなかったこともあって若干の遅延となった。これは地方長官を輩出した一族の来歴を調べ、一八世紀の半ば以降にロレーヌやアルザスで改革を遂行した地方長官の活動と、この地域のシュブデレゲ(地方長官補佐)の認識との間にあったすれを明らかにし、ここでの助産をめぐる中央主動の啓蒙活動、公共善の意味を問うたものである。 (3)学位論文の作成については、昨年同様、既発表の研究をあらためて遂行しなおし、学術論文としての形式を整えるべく、全体の構成、形式、文章の遂行を重ねてきた。昨年度との違いは、内容を吟味するとともに、新たに註記を付し、内容の充実を図ったことである。作業は平成20年度にも継続する予定。 (4)今年度は、南仏の文書館、具体的にはモンペリエやマルセイユ、ニースなどの公立文書館をめぐり、18世紀の出産および身体や食、環境に関して、とくに印刷本を中心に探索した。短い現地調査ではあったが、この地域の助産、出産史についての今後の探索の方向性について、多くの示唆をえた。
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Research Products
(2 results)