2008 Fiscal Year Annual Research Report
出産の社会史--17〜18世紀フランスの産科医の進出と助産婦の制度化を中心に--
Project/Area Number |
17520489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 まゆ帆 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (60192697)
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Keywords | フランス近世・近代史 / 身体 / 医療 / 出産 / ジェンダー / 宗教 / アンシャン・レジーム / 公共性 |
Research Abstract |
平成20年度は研究計画に沿って研究調査を進め、以下のような成果を得た。 (1)コタンタン半島で開業し、実践記録を出版して外科医の地位を築いたモケ・ド・ラ・モットについての論考「救済の手と簒奪の手が-昨年度に出版されるはずであった共著『近代ヨーロッパの探求ジェンダー』(ミネルヴァ書房2008年)がようやくこの年度7月に刊行に至った。 (2)また、ロレーヌにおける助産婦養成の無料講習会を開いた地方長官アントワーヌ・ガレジエールの官僚としての傾向、ロレーヌ赴任後の行動を明らかにした「地方長官と助産婦講習会」(近藤和彦編『歴史的ヨーロッパの政治社会』所収)も5月に出版された。 (3)上記のモケ・ド・ラ・モットについては、さらに研鑽を加え1冊の書物にまとめ、次年度に岩波書店からの出版を予定している。そのため今夏は、上記の論文の中ではほとんど扱わないままになっていた重要な問題、すなわちソルボンヌの医学者フィリップ・エッケとモケ・ド・ラ・モットとの論争の詳細をつきとめるために、パリの国立文書館および国立図書館に残されている当時の原著を調査し、その内容を調べた。この内容調査はまだ継続中である。 (4)また同様に、モケ・ド・ラ・モットの著作の中に見られる助産婦に対する記述を取り上げ、どのような批判や描写が行われているかを検討した。この作業もなお継続中で未完である。 (5)社会史的にみると、上記の研究はミクロヒストリに相当するが、そのために必要なノルマンディ西部の半島コタンタンや開業した都市ヴァローニュについて、文献を渉猟し、理解を深めた。
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Research Products
(3 results)