2005 Fiscal Year Annual Research Report
中世キリスト教世界の秩序形成原理とローマ皇帝-世界帝国の理念と現実-
Project/Area Number |
17520492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大月 康弘 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (70223873)
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Keywords | 西洋史 / ビザンツ / 帝国 / 皇帝 / キリスト教 / 地中海 / カロリング朝 / イタリア |
Research Abstract |
9世紀半ばから、オットー1世の皇帝戴冠時(962年)までを観察の基本枠組として、地中海世界を舞台に展開された東西キリスト教世界の政治・外交交渉の分析に着手した。分析の焦点は、カロリンガー王権の分割(843年)から、ザクセン朝のフランク王オットー1世(在位936-973年)が「ローマ皇帝」に戴冠された時(962年2月2日)までである。当該期は、カロリンガーの直系王統が断絶し、血統が北イタリアを含めて分散した時期に当たる。それは、西欧世界で「皇帝ヘゲモニー」が脆弱化した時期といってよく、フランク王ばかりでなく、ローマ司教、イタリア各地の諸侯がコンスタンティノープルとの外交交渉を頻々に行った時期だった。本作業は、当該期を西欧地域が自立的世界に向かう重要プロセスと認識し、ビザンツ、西欧諸勢力間の交渉過程を分析して、中世キリスト教世界の政治秩序原理を検討したいと願っている。一連の作業を通じて、「帝権の移転」Translatio Imperii問題として理解される西欧世界の生成過程とその特質を、イスラム勢力の動向を含めた当時の国際関係との連関のうちに分析したい。 初年度である平成17年度は、当該期の地中海世界を取り巻く国際環境の理解に努めながら、分析対象素材となるべき史料所言(ビザンツ側年代記記事・皇帝文書、また、西欧諸勢力が作成したビザンツ皇帝・宮廷宛書簡等)のリスト作成に集中した。しかし、同時に、可能な限りテキスト自体の分析にも入った。この試行作業の中で、ビザンツ皇帝を中心として、フランク王、北イタリア諸侯、ローマ司教間の外交交渉が絶えず継続されていたことが確認された。そして、本作業の今後のスケジュールを見通すことができたと認識している。ただ、キリスト教世界とイスラム世界の勢力分布は思いのほか錯綜しており、局地的紛争など悉皆的に確認しえていない。平成18年度以降も、作業の推進に務めたい。
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Research Products
(6 results)