2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520493
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 彰一 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (80131126)
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Keywords | メロヴィング王家 / 王族の結婚 / 族外婚 / 族内婚 / 血統のコントロール / 婚姻戦略 / 領主制 / 国家的租税 |
Research Abstract |
二つの課題について成果が得られた。一つはメロヴィング王家の婚姻形態に関してである。婚姻の形式はふつう社会慣行の中でも最も変わりにくい要素であると考えられている。しかも王族の婚姻であればなおさらというのが、通例であろう。しかしメロヴィング王家のそれは、極めて柔軟性に富み、状況の変化に応じて巧みに形式を変化させた。当初外国の王族との婚姻という族外婚を原理としたが、やがて周辺の部族国家が次々と消滅する中で、族内婚に原理的な転換をせざるをえなくなる。その際に採用されたのが、最下層の女性との通婚もしくは内縁関係であった。こうした原理的な変化を通して、婚姻戦略が目指したものは不変であった。それは王族の血統のコントロールである。それは族内婚、すなわち同部族の者との婚姻という事態に迫られたとき、できる限り出自の低い者を相手に選ぶことにより、外戚が王家に対抗しうる勢力に成長しうる可能性をできるだけ低くするという意向に基づいていたのである。 もうひとつの問題は、中世初期の領主制の形成過程に関わる。主に史料が豊富な修道院に伝来した記録に基づいて、領主制的な賦課の起源を何に求めるかが議論されてきた。これについては、8世紀アルザス地方の修道院文書から、そうした賦課が、元来国家による徴税権が修道院に譲渡されたことに由来する事実が明らかにされた。
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