2006 Fiscal Year Annual Research Report
肖像から図像へ-ドイツ歴史教科書の文化史的転回にかんする学際的研究-
Project/Area Number |
17520500
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
佐々木 博光 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (80222008)
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Keywords | ドイツの歴史教科書 / 文化史的転回 / 文化史 / カール・ランプレヒト / 挿絵 |
Research Abstract |
ドイツの歴史教科書の文化史的な転回が歴史家カール・ランプレヒトの影響下ですでに1900年前後に本格化していたことを明らかにするため、17年度に引き続き歴史教科書に掲載された挿絵の調査に従事した。本研究の遂行のためにはドイツ連邦共和国ブラウンシュヴァイク市にあるゲオルク・エッカート国際教科書研究所附属図書館における調査が不可欠である。わたしは2006年8月から9月にかけてほぼ3週間科学研究費補助金によって、歴史教材の調査を進めることができた。見なければならない教材の分量が多く、全教材を扱うことはできなかったが、数量的な考察に耐えうるだけの冊数はこなすことができた。 ランプレヒトが文化史の必要性を提唱する1890年代以前の歴史教材にもすでに少なからぬ挿絵が使われていたが、それらは偉人の肖像や著名な事件を描く図像であって、祖国愛を喚起するとともに、暗記事項の記憶を助けるための図像であった。いっぽう、1890年代を境として特定の歴史的固有名詞と結びつかない文化史的図像が増える。それは住居や居住形態から風俗にまで及んだ。もちろん教材の記述にも相応の変化が出てくる。暗記よりも理解に重点がおかれたのである。文化史的教材は太古の時代に関しては自民族の好戦性を強調した。それはドイツの歴史にいかなる影響を残したのか。今後も考察を続けたい。 本研究は海外でも高い注目を集めている。ライプツィヒ大学のカール・ランプレヒ協会から本研究に関する講演依頼を受け、それは2006年9月18日にライプツィヒの学校博物館で行われた。今度はカール・ランプレヒト協会から年報への投稿依頼を受けている。和文の研究成果報告書の作成に加え、海外学術雑誌への掲載にも全力を挙げたい。
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Research Products
(2 results)