2007 Fiscal Year Annual Research Report
デンマーク領西インド諸島における奴隷解放に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17520502
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
佐保 吉一 Hokkaido Tokai University, 国際文化学部, 准教授 (00265109)
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Keywords | デンマーク領西インド / セント・トーマス島 / セント・ジョン島 / セント・クロア島 / 奴隷法 / 自由黒人 / ピーター・フォン・ショルテン |
Research Abstract |
本研究3年目にあたる平成19年度は、主に次の3項目関して研究を実施した。 (1)旧デンマーク領西インド諸島において、1848年の奴隷制廃止実現までに公布された奴隷解放関係の法律を調査し、その内容を考察すること、(2)1917年以降に旧デンマーク領西インド諸島からアメリカ本土へ移された資・史料の状況調査を米国国立公文書館で行なうこと、(3)引き続き最新の研究成果を追い、必要に応じて文献複写を行なった上で文献目録に加えること。 (1)、(2)に関しては、まず関係史料があると言われている米国のワシントンDCにある国文立文書館(The National Archives at College Park)で史料調査を行なった。 マイクロフィルムではM1883、M1884に人口を中心とした史料を確認できた。さらに、Record Group 55に1672-1957年の主に現地政府の行政史料が大量にあることが判明した。例えば現地政府が公布した法令、現地政府がデンマーク中央政府(関税局)に送った書簡や報告書の控え台帳や、中央政府から現地政府に送られだ書類、特に奴隷制廃止に大きな役割を果たした現地の総督ピーター・フォン・ショルテンが中央政府宛に送った書簡の所在が判明したことは大きな成果であった。特にこれらの行政史料は現在マイクロフィルム化が行われており、その為に今後5年くらいは目に触れることができないため、今回の出張は特に意義深いものであった。また、St.Thomas Tidende、St.Croix Avisといった現地新聞も保存状態はともかく全号揃っていた。これはデンマーク本土や来領ヴァージン諸島でも全号揃ってはいないため、今後貴重な研究史料となる。なお、この史料調査は実施が年度末であったため、現在も整理が進行中である。見通しとしては1834年、1840年、1847年に公布された法律が手がかりになると思われる。 (3)については適宜関連文献・複写を入手し、それらのデータも文献目録に加えた。
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