2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520506
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
印出 忠夫 University of the Sacred Heart, 文学部, 准教授 (30232721)
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Keywords | フランス / 中世史 / キリスト教 |
Research Abstract |
平成19年度の研究活動は以下2点に要約される。 1.18年度の留学により得られた成果の発表(内容は昨年度の本報告参照)。 下記の通り12月1日に口頭発表を行う。また、仏語で論文を執筆し、すでにフランスの指導教授 J.シフォロー氏提出済みである。内容的には執筆前にすでに承認をえているので、大きな問題があるとは思われない。表現上の必要な訂正を施したうえで、仏文の専門雑誌に投稿したいと考えている。 2.研究の継続 司教座参事会の中世末期における財政基盤整備の研究の一環として、アヴィニョン近傍に立地するSaint-Paul-de-Mausole修道院の土地契約文書の分析に着手して。現段階での成果は以下の通り。14世紀の教ヨハネス22世の決断により、同修道院はそれまでの参事会への従属関係をより密接なものとした。当時にヨハネスの影響を受けた2代の修道院長により、14世紀半ば、その所領の地代を支払う土地所有者たちとの間にemphyteose契約の大掛かりな確認がなされ、膨大な文書が残された。財政基盤整備の大改革の証と思われる。興味深いのはそれら契約のうち一定割合が、単なる地代契約ではなく、魂の安息を願う年1回のミサに対する礼金(anniversarium)の形を取っていることである。宗教行為の実践と教会の財源確保が合致した事例として今後も注目して分析を進める予定である。
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Research Products
(1 results)