2006 Fiscal Year Annual Research Report
イタリアの「国民国家」形成過程における制度と社会に関する総合的研究
Project/Area Number |
17520509
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
北村 暁夫 日本女子大学, 文学部, 教授 (00186264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池谷 知明 拓殖大学, 政経学部, 教授 (50261251)
勝田 由美 工学院大学, 工学部, 助教授 (80286666)
小谷 眞男 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (30234777)
柴野 均 信州大学, 人文学部, 教授 (30162639)
高橋 利安 広島修道大学, 法学部, 教授 (50226859)
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Keywords | イタリア / 国民国家 / 自由主義期 / 制度=社会史 / クリスピ / デプレーティス / トラスフォルミズモ / 黄昏派 |
Research Abstract |
二年目である本年度は、共同研究の参加者(研究代表者、研究分担者7名、研究協力者6名)による会合を3回行った。2006年8月25〜26日のイタリア近現代史研究会2006年度全国大会(全体テーマ:イタリア自由主義、「国民国家」形成過程における制度と社会、於:明治大学駿河台校舎)、同年9月23〜24日(於:箱根プリンスホテル)および2007年1月13〜14日(於:大磯プリンスホテル)の研究合宿である。共同研究の参加者全員が会員であるイタリア近現代史研究会の年次大会では本共同研究とタイアップした形で統一テーマを設定し、県知事(県令)制度、選挙制度(1882年選挙法改正)、小学校教科書と国民形成といった個別テーマの報告を行い、討論に際しては本共同研究に参加していないイタリア近現代史研究者からも有意義なコメントがなされた。2回にわたる研究合宿では、トラスフォルミズモ、イタリア自由主義と文学(とくに黄昏派)、国民国家形成における家族の役割と「子捨て」現象、革命的サンディカリストのアルトゥーロ・ラブリオーラや急進的な南部主義者ガエターノ・サルヴェーミニの政治思想と国民国家形成といったテーマで、参加者による報告が行われた。その結果、(1)1882年の選挙法改正に対する従来の認識は過小評価であり、この制度改革は長期的な観点での普通選挙を意味する重要な改革であったこと、(2)南部問題はイタリア「国民国家」から南部を排除する思想ではなく、「国民国家」形成の重要なモーメントの一つであったこと、(3)イタリア「国民国家」形成においてカトリック教会やカトリシズムが果たした役割を再認識すべきであること、などが明らかにされた。以上の研究成果を踏まえて、最後の研究合宿で研究成果報告書作成への段取りが確認され、3月中に参加者による報告論文を集約したうえで、全体で150ページを越える報告書を作成した。
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Research Products
(3 results)