2005 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域の資源発掘とエコ・ミュージアム構想による内発的地域振興策
Project/Area Number |
17520542
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
熊谷 嘉隆 国際教養大学, 国際教養学部, 助教授 (00381335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前中 ひろみ 国際教養大学, 国際教養学部, 助教授 (80381333)
ミレナ マルコワ 国際教養大学, 国際教養学部, 助教授 (40381339)
ジョン モック 国際教養大学, 国際教養学部, 教授 (20381337)
三橋 俊雄 京都府立大学, 人間環境学部, 教授 (60239291)
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Keywords | エコミュージアム / 内発的地域活性 / 過疎地域 |
Research Abstract |
今年度は全国的にも突出した過疎・高齢化地域として知られる北秋田市阿仁地区の資源発掘作業を行った。作業ではカメラ&ビデオ撮影、ヒヤリング、そして文献調査を通して収集した資源をデータベース化した。 伝統資源である阿仁地区・根子集落に伝承される「根子番楽」は平成16年度に文化庁より無形文化財に指定されたが、後継者が確保できず、現在では地域外の若者を取り込みながら、かろうじて演者を確保している。阿仁地区比立内集落に伝承される「獅子踊り」もやはり300年ほどの歴史を有し、その踊りは北米インディアンのPAW WAWに類似あるいは共通するものがあると思われる。 食資源に関する研究については「阿仁・食の祭典」に出品された地区に継承されている約150種類の地元食を撮影し、そのレシピーをデータベース化した。地元で取れた山菜、岩魚、熊肉、馬肉といった食材を伝統的な方法で保存しつつ調理する食の多様性は注目に値する。特に保存方法に関しては伝統的な塩蔵の技術が興味を引いた。これは各種山菜などが塩漬されているにもかかわらず、塩の味がほとんどない状態でそれら山菜が保存されており冬期間、長い間雪に閉じ込められる阿仁地区ならではの食材保存方法である。また伝統的な食の他に、地元の主婦たちは地元の山菜や熊肉を使いながら、若い世代と協力しつつ、より広範な世代の好みにも合うような新しい地元料理の開発にも取り組んでいる。 一連の資源発掘作業で興味を引いたのは内発的地域活性における農村女性が果たす役割の重要性である。阿仁のような過疎農山村において一般的であった「農家に嫁いで来た嫁」としての制約を取り払いつつ、農山村の持つ食糧生産以外の付加価値を認識し、それらを活用する際の農村女性達の生き生きとした活動ぶりは、他の過疎・高齢化の著しい農山村地域においてもその可能性を検証する価値があると思われる。
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