2006 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域の資源発掘とエコ・ミュージアム構想による内発的地域振興策
Project/Area Number |
17520542
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
熊谷 嘉隆 国際教養大学, 国際教養学部, 助教授 (00381335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前中 ひろみ 国際教養大学, 国際教養学部, 助教授 (80381333)
ミレナ マルコワ 国際教養大学, 国際教養学部, 助教授 (40381339)
ジョン モック 国際教養大学, 国際教養学部, 教授 (20381337)
三橋 俊雄 京都府立大学, 人間環境学部, 教授 (60239291)
岡部 恭子 国際教養大学, 国際教養学部, 講師 (30404859)
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Keywords | エコミュージアム / 内発的地域活性 / 過疎地域 |
Research Abstract |
平成18年度の主要作業は旧阿仁町住民への聞き取り調査である。地域住民が当該地域の自然、風土、文化、産業の枠組みで継承してきた木材、山菜、野生動物といった自然資源の利活用に関する知見や技、また地域が共同作業を通して培ってきた『結い』のあり方、地域産出の材による各種道具の作り方やその修復方法にまっわる多様な話を、のべ50人から情報提供してもらった。収集した聞き取りデータは衣、食、住、薬、生業、燃料、洗剤、ごみ処理、冠婚葬祭、伝統芸能、宗教、家族、といった項目に分類しデータベース化した。次のこれらの項目間における有機的相関性を検証した。現段階では中間報告の域を出ないが、基本的に当該地域の資源は殆どが周辺地域の森林から採取しつつも、その資源の持続的管理が「字」単位の地域共同体で自発的に管理されていたことが判明した。ただ高度経済成長以降、地域外部からの資源投入量増大、地域外部における就業機会の増大と、それに伴う現金収入の増加が地域完結的な経済・社会システムの変容に大きく影響を与えている。ただ地域住民はこの劇的な変容に関しては中立的なスタンスを保っているようである。 一方で、聞き取り調査の過程で地域住民が自らの家族のことや地域の歴史や思い出にまつわる話をしていく中で、精神の高揚とでも言うべき様相を多くの地域住民が顕在させたのは注目に値した。当初は聞き取り調査への参加に躊躇していた地域住民が、話を始めると予定の時間をはるかにオーバーすることがしばしばあった。このことは本研究テーマのキーワードである「内発性」を考える上で重要である。実際多くの聞き取り調査参加者が継続的に本研究への直接・間接的関与を希望しており、これは今年度以降の当該地域のエコ・ミュージアムによる地域活性を推進する上で地元住民と当研究チームの共同作業による『阿仁学』構築の必要性とその可能性を内在的に示唆していると考えられる。
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