2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520554
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 潔 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60217841)
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Keywords | 伝統 / 言説 / マス・メディア / バリ / 地方紙 |
Research Abstract |
本研究は、地方紙を資料として慣習が再構築される過程を記述・分析する。今年度は以下のように研究を進めた。 1.先行研究の閲読 昨年度に行った先行研究閲読から、仮説検証的な研究としては計量的な内容分析が有効であるが、本研究では地方紙の民族誌記述が適切と考え、民族誌研究、マス・メディアの人類学、およびマス・メディアの民族誌についての理論的著作を閲読した。また、メディア社会学、コミュニケーション論、カルチュラル・スタディーズなどの理論研究および質的研究の渉猟と閲読・検討を行なった。 2.資料収集およびインタヴュー調査 昨年度の調査において定期購読し、留め置いた地方紙(海外への郵送をしていないため、今年度に引き取ることにして現地に保管)を収集、閲読した:Bali Postなど5紙(新聞),Taksu Bali Aga(タブロイド),Sarad(雑誌)。その結果、すでに、Fajar BaliやTaksuが市場から姿を消しつつある一方、改革期以降のバリの地方メディア創刊の動きはいぜんとして続いており、新たに創刊された新聞(Patroli Nusantara)、タブロイド(Suar Bali)もあることがわかった。地方紙のほとんどについては本社(編集部)を訪れ、情報収集を試みたが、新たに創刊された、この2紙については次年度に調査する。 3.メディア・テクストの分析手法の検討 バリの知識人が、自分たちの慣習をめぐるテクスト(あるいはその特定の解釈)をどのようにつくっているのかを知ることが本研究の目的である。バリのマス・メディアをめぐる状況は、マス・メディア発行の制度的制約の変化の調査や地方紙の発行者への直接のインタヴューから、ほぼ明らかになったと思われる。さらに、収集した地方紙記事のテクストの分析から、現代のバリ社会において、慣習を「強化」する動きのあることを示す必要がある。テクストの分析は継続中である。
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