2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530012
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大平 祐一 Ritsumeikan University, 法学部, 教授 (00102161)
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Keywords | 無罪 / 有罪確保主義 / 自白第一主義 / 選別主義 / 糺問主義 / 下吟味 / 刑事裁判像 / 無構 |
Research Abstract |
本研究は、近世日本の刑事司法のあり方に関する従来の研究の再検討をふまえて、刑事司法についての新しい像を構築するための基礎的研究を行うことを目的としていた。研究の最終年に入り、これまで収集してきた史料を総点検し、従来の研究を再検討するなかで、まとめの作業に入った。史料の不足した部分については補充の史料調査を行った。全体として見ると、刑事司法のすべての手続を再構築するには、まだ少し足りない部分があるため、その部分は留保しつつ、従来の糺問主義手続のもとでの刑事裁判像の再検討作業を行った。 従来、近世前期幕府刑事法の研究については近世前期の研究が手薄であったことを考え、刑事判例の保存状態のよい長崎奉行所での刑事裁判を対象にして、作業を進めた。犯罪行為の認定にかかわって、「犯罪行為をしていない」「自首」「自白」「双方無罪・宥免願」「温情」「正当防衛・無礼討ち」「罪を犯す意思がない」の八項目にわたり検討し、糺問主義手続のもとでの「無罪」の意味について、明らかにすることができた。 従来の刑事裁判像とは異なった刑事裁判像を提示することができたのではなかろうかと思われる。
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