2007 Fiscal Year Annual Research Report
会社法改正が現行課税規定に与える影響とあるべき企業課税に関する理論的研究
Project/Area Number |
17530022
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡辺 徹也 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 教授 (10273393)
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Keywords | 法人税法 / 会社法 / 税法 / 組織再編税制 / アメリカ法 / 三角合併 / 対価の柔軟化 |
Research Abstract |
会社法における対価の柔軟化に関する部分の施行が、他より1年遅れて平成19年5月となったことを受けて、税法においても、平成19年度税制改正の一環として、その部分への対応が行われた。具体的には、親会社株式を対価とする三角型の組織再編成(三角合併等)について、一定の要件を満たした場合に、課税繰り延べが認められることとなった。本年度は、主としてこれら三角合併等に対する課税ルールの研究を、アメリカ法との比較を通して行った。 アメリカで最初に三角型の非課税組織再編成として導入されたのは、1954年改正法による三角C型(triangular type Creorganization)であった。その原型となるC型組織再編成は、取得的組織再編成の範囲を州法上合併から広げるために創設されたものであり、その適格要件は、(私法に依存するのではなく)税法の視点から設定されていた。そして、同じ取引は課税上も同じように扱うという税法における実質主義の発想から、その後の三角型組織再編成の領域は拡大していった。わが国においても、税法のルールが会社法に依拠する必要性を否定はしないが、盲目的に従属するのではなく、常に税法の視点から取引を捉え、課税上の扱いを検討していく必要があろう。会社法を後追いするだけでは、M&Aを中心とした新たな形態の取引に対して、税制が適正に対処できなくなる可能性もある。 納税者の通ったルートが違えば、適用されるルールも違うというのは、一方では、当たり前のことであるが、他方で、行き着く先が同じなら、同じルールが適用されるべきともいえる。重要なのは、課税のルールを作る上で、何を同じと捉え、どう課税するのが合理的かを考えることである。アメリカ法の法人税制(とりわけ組織再編税制)は、そのことを強く意識して作られているように思えた。
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Research Products
(5 results)