2006 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦後における国連平和維持機能の規範的展開とその実効性
Project/Area Number |
17530037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 啓亘 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (80252807)
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Keywords | PKO / 国連 / 平和維持 / 多国籍軍 / 地域的機関 / 活動原則 / 国際法 / 国連憲章第7章 |
Research Abstract |
本年度は国連の平和維持活動(PKO)だけでなく、国連憲章第7章に基づく措置についての考察を中心に研究を進めた。 なかでも、国連憲章第7章が言及されていないにもかかわらず、同章に基づく行動であるかのように行われる活動が近年国際社会では増加していることから、こうした活動と国連の関係、とりわけ国連による当該活動のコントロールについて検討を行った。そこで取り上げられた事例は、2003年に行われたいわゆる第2次イラク戦争と、2006年7月に行われた北朝鮮によるミサイル発射とそれに対する国連加盟国の対応である。前者は米国と英国によるイラクでの軍事活動が憲章第7章に基づき正当化されたのか、後者はミサイル発射問題に対する安保理決議が憲章第7章に基づく行動を明記していないことから法的拘束力を有するものであったのかという点がそれぞれ論点となったが、いずれにおいても憲章第7章と非第7章の区別は、国家実行上も、関係当事国の主観的認識においても、明確に維持されており、憲章第7章に基づく行動の発動要件はきわめて厳格に適用されていることが実証された。なおこの考察については、2007年4月にシンガポール国立大学で開催されたアジア国際法学会設立総会において、"As if acting under Chapter VII of the UN Charter?:Rigidity of the Threshold between Chapter VII and non Chapter VII"と題する研究報告として、事前ペーパーが配布され、研究代表者による報告が行われた。そのほかでは、引き続き地域的機関による平和維持の問題を検討した。 また前年度に検討したPKOの自衛原則の問題や日本の国内法制をめぐる問題についてはそれぞれ今年度に、「国連平和維持活動と自衛権-ポスト冷戦期の事例を中心に-」浅田正彦編『安藤仁介先生古稀記念 二一世紀国際法の課題』(有信堂)と、「国連の平和維持活動(PKO)の新たな展開と日本-ポスト冷戦期の議論を中心に-」『国際法外交雑誌』105巻2号という論文で考察結果を公表した。
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Research Products
(2 results)