2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子商取引に伴う法律問題-国際私法的解決の有効性と限界-
Project/Area Number |
17530039
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
江泉 芳信 青山学院大学, 法務研究科, 教授 (50103601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木棚 照一 早稲田大学, 法学部, 教授 (90066697)
矢澤 昇治 専修大学, 法学部, 教授 (00128323)
伊藤 敬也 青山学院大学, 法学部, 講師 (70348457)
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Keywords | 民事法学 / 電子商取引 / インターネット / 知的財産取引 |
Research Abstract |
従来の国際取引は有体物を主に扱い、それを前提とした「国際取引法」システムが構築されてきた。この「国際取引法」は、条約に代表される国際的基準の他、各国の国内法によって構成される。その結果、これまでの国際取引の法規制は、国際私法を通じて準拠法を明らかにし、その準拠法によって行うわれてきた。 しかし、電子商取引の出現により、デジタル化された財が取引の客体とされ、また、取引の手段としてインターネットが活用されることになり、既存の、国際私法による準拠法指定を前提とした「国際取引法」では十分に対応できない事態が生じている。そこで、いくつかのテーマに絞り、現行の法制度で対応可能な法領域と、あたらしい法的枠組みを必要とする分野とを明確にし、いかなる法規制が有効であるかを検証してきた。 例えば、紛争の解決にあたって裁判を利用する場合、被告への訴状送達が必要となる。最近、アメリカ合衆国の裁判所が電子メールを使って行う訴状送達を有効とする判例が現れている。これまでの条約による送達、あるいは問題点はあることが指摘されながらも有効とする判断もある国際郵便による送達とは大きく異なる。この点について合衆国判例の検討を行いつつ、わが国に居住する被告への電子メール送達がなされた場合の問題を検討している。 また、amazon.comにみられるように、個人取引における消費税の問題がある。間接税については、売主に代理徴収させたうえで年度末に一括して納税させる方法は、在来型の課税方法として、納税コストの面でも有効に機能してきたが、一般消費者が容易に国際的な電子商取引にかかわることができ、しかもその取引量が増大するなかでは、多くのループホールを出現させてしまった。この状況は、恒久的施設の存在を下に構築されてきた直接税の徴収問題にも共通する。このような現状を踏まえて、新たな、インターネット取引に特化して提案されている課税制度を検討している。 これらの成果は、江泉および伊藤の担当する国際取引法の授業に反映されている。
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