2006 Fiscal Year Annual Research Report
国家再建・平和構築過程における国際刑事裁判の機能-法構造と動態に関する研究
Project/Area Number |
17530040
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古谷 修一 早稲田大学, 大学院・法務研究科, 教授 (50209194)
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Keywords | 国際刑事裁判所 / 補完性の原則 / 平和構築 / 真実和解委員会 / 補償委員会 |
Research Abstract |
本研究においては、国家再建・平和構築過程における国際刑事裁判の機能に関し、「清算的機能モデルjと「構築的機能モデル」という二つのモデルを分析枠組として、裁判め法構造と動態を検討した。 特に、国際刑事裁判所(ICC)の制度において、犯行地国との関係がいかに構築されているのかを考察した。具体的には、清算的機能の側面として、(1)犯行地国法令の適用・参照の可能性(量刑の判断など)、(2)適用法規の一部としての「国内法の一般原則」(犯行地国の国内法を含む)の意義、(3)犯罪の被害者の訴訟手続上の地位、(4)ICCによる被害者への補償といった点に関して、ICC規程および手続証拠規則の分析を行った。第二に、構築的機能の側面として、(1)国内法制度の構築・法の支配の確立という観点でのICC活動の脆弱性(客観性・独立性の確保と関係国へのコミットのバランスのあり方)、(2)真実・和解委員会(truth and reconciliation commission)との関係・権限配分、(3)恩赦・大赦などの国内搭置とICCの裁判手続との関係をそれぞれ検討した。 この結果、補完性原則との関係で、たとえば真実・和解委員会の設置や轍・大赦などの犯行地国における融和措置が、国際刑事裁判の進行と抵触する可能性が高く、その意味でICCの活動が必ずしも国家再建・平和構築に直結する機能を果たすものではない点を解明した。他方で、犯行地国による自己付託(self-referral)という近時の実行を通して、関係国の国内事情を勘案しようとするICC検察局の戦略の存在を指摘し、これが国家再建・平和構築に果たす意義と問題点を明らかにした。
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Research Products
(2 results)