2005 Fiscal Year Annual Research Report
韓国社会保障法制の特質と課題-インフォーマル組織の役割とその限界-
Project/Area Number |
17530042
|
Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
片桐 由喜 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80271732)
|
Keywords | 社会保障法 / 韓国 / インフォーマル組織 / 募金 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は大きく二つに分けられる。第一は、韓国における社会保障制度の立法過程研究である。これは主として文献研究から得られた成果である。この作業により、韓国社会において公的部門による所得保障機能が、立法当初から脆弱であり、私的部門、すなわちインフォーマル組織に依存する性質を内包していたことを明らかにした。とれは本学紀要に掲載済みである。 第二の研究業績は本研究テーマを遂行するうえで不可欠の実地調査を通して得られた知見である。すなわち、他の先進諸国等では国家が運営する社会保障制度を代替しているインフォーマル組織にはどのようなものがあるか、そこでは具体的にどのような活動をしているか、いかなる課題を抱えているか、公的部門との関係はいかなるものであるか、等を問題関心として4度にわたる訪韓調査を実施した。 調査対象は募金活動やボランティア活動を実施し所得保障ないしは社会福祉機能を実践している団体を選定した。まず公的性質が強く国際的な組織である韓国共同募金会、大韓赤十字社を訪問・調査した。次に韓国社会で宗教団体がかかる機能に大きな役割を果たしていることにかんがみソウル市内のプロテスタント系教会5ヶ所、寺院系社会福祉財団2ヶ所を訪問・調査した。またテレビ番組を活用した募金活動が韓国の特徴であり、またその募金総額が極めて大きいことから、韓国国営放送局KBSおよび民放SBSを訪問し番組担当者にインタビューを行った。 上記研究・調査を通して、韓国社会において、どのインフォーマル組織が社会保障機能を代替し、いかなる活動をしているか、その課題は何かがある程度把握できた。
|
Research Products
(1 results)