2006 Fiscal Year Annual Research Report
消費者を欺瞞する取引行為に対する有効な施策のあり方に関する研究
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17530043
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
本城 昇 埼玉大学, 経済学部, 教授 (10282419)
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Keywords | 消費者政策 / 欺瞞的消費者取引 / 不公正な消費者取引行為 |
Research Abstract |
前年度後半から消費者を欺瞞する取引行為等の不公正な消費者取引行為に対するアメリカ合衆国及びEUの取組みを海外出張して調査することを開始したが、引き続き、本年度においては、海外出張して調査を継続するとともに、アメリカ合衆国については、調査して得た資料、ヒアリング結果などを整理し、不公正な消費者取引行為に対する取組みを分析し、とりまとめを行った。また、EUについては、本年度においては、イギリス、ドイツ、フランス及びスエーデンを調査し、その取組みの状況を把握することに努めた。 アメリカ合衆国では、連邦取引委員会(FTC)が電話勧誘販売の分野で全米Do-Not-Call制度を導入する等、悪質商法の規制に大きな役割を果たし、連邦レベルにおける消費者政策の中心となって活発な活動を展開している。とりわけ、FTCは、FTC法5条の「不公正な又は欺隔的な行為又は慣行」に違反することが明らかな不公正な消費者取引行為については、同法13条b項(差止めの規定)を積極に活用して裁判所に提訴し、不当な電話勧誘販売その他の不公正な消費者取引を効果的に差し止め、消費者被害の救済を因っている(提訴件数は、1980年代後半から現在までで約1000件)。また、FTCは、消費者番兵(Consumer Sentinel)と呼ばれるデータベースを政府機関等の中心となって運用し、刑事当局との協力・連携を深め、悪質な行為の効果的な規制を図っている。 一方、EUにおいては、加盟国に消費者関係法制の整備・充実を求めるEU指令が逐次出されてきており、2005年5月には、消費者に対する不公正な商慣行(Unfair Commercial Practices)を包括的に規制する国内法制の整備を求める指令が出されるに至っており、消費者関係法制が一層の充実・強化を図られようとしている。この一連の動きの中で、EUでは、1990年代から不公正な契約条項、不当表示その他の不当な行為について消費者団体に差止めの訴権が与えられ、実効性ある形で抑止する制度が整備されてきたが、この指令によって、さらにその対象を不公正な消費者取引行為全体に広げ、包括的に抑止する法制度の整備が図られようとしている。 以上のとおり、アメリカ合衆国やEUにおいては、欺隔的な行為を含む不公正な消費者取引行為への取組みが日本よりも進展していることが確認された。
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Research Products
(1 results)