2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530044
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
野川 忍 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30180714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名古 道功 金沢大学, 法務研究科, 教授 (80172568)
根本 到 神戸大学, 海事科学部, 助教授 (60304135)
高橋 賢司 立正大学, 法学部, 助教授 (60386513)
川田 知子 亜細亜大学, 法学部, 助教授 (20365042)
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Keywords | 労働法 / 労働市場 / ドイツ / 労働市場政策 |
Research Abstract |
平成18年度は、12月末に開催した金沢での研究合宿を中心として、最終成果のまとめを行った。すでに前年度にドイツに赴いてそれぞれの研究分担者の分担分野につき入念な調査を行ったので、その結果に基づき、最終成果として提出すべき報告書の具体的な内容を検討した。その結果、まず報告書の構成については、はじめにドイツにおける労働市場改革の現状を正確に叙述し、その課題を突き止めることを名古が担当し、とりわけドイツにおいて労働市場改革のために制定された膨大な法令や制度の意義を分析し、その機能を検討することとした。つぎに日本においても重要な政策課題となっている高齢者雇用政策について、ドイツの現状を分析することとし、これを川田が担当した。結果として、ドイツ労働市場改革の代名詞となっている「ハルツ改革」の前後において顕著な政策の進展が見られ、その成果と問題点とは日本の高齢者雇用政策においても重要な参考となることが判明した。また第三に、これも日独共通の政策課題である若年労働者に対する政策につき、野川が担当して、ドイツにおいてシュレーダー政権が誕生したことによりどのような政策の変化があり、それがどのような結果をもたらしたのかについて、最新の情報と見聞に基づいて検討を行った。さらに、ドイツにおける労働市場政策の補完的な領域として、自営業者や僅少稼得就業者、派遣労働者等に対する政策対応につき、「私会社」、「ミニ・ジョブ」、人材エージェンシーによる派遣業務など具体的施策を素材として検討する作業を根本が担当した。第五に、ドイツにおける失業政策につき、解雇規制の変遷を主たる検討対象として高橋が検討を行った。労働市場のフレキシビリティーをどう確保し、それと労働者保護とをどのように両立させるかは、日独双方の最重要課題の一つであり、この検討がもたらす成果は重要である。以上の検討成果を踏まえて、最後に野川が日独労働市場政策の総括を行った上で今後の日本の労働市場政策の新モデルを提示している。
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