2008 Fiscal Year Annual Research Report
触法少年の扱いに関する新たな法的枠組みについての研究
Project/Area Number |
17530057
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 直也 Kobe Gakuin University, 実務法学研究科, 教授 (20298392)
|
Keywords | 少年矯正施設 / 事実認定手続 / 処分決定手続 / 児童福祉施設 / PFI刑務所 / 民営刑務所 / 触法少年処遇 |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度として、触法少年の扱いに関する総括的検討を行うとともに、今後の新たな処遇枠組みを展望する意味で、刑事・少年矯正施設民営化の動向を検討した。 まず触法少年の事実認定手続・処分決定手続については、昨年度にひきつつぎアメリカカリフォルニア州の少年司法手続を調査した結果、行政手続ではなく、司法手続の中で対象となる少年の適正手続を保障しつつ行うことが、子どもの人権保障という観点か妥当であることを確認した。そこで、わが国においては、未だ一部の触法少年を除いて、行政手続の中で行われている同手続を司法手続に移行することが肝要であると結論づけた。 次に、処遇(教育的処分)の実際についてであるが、わが国では多くの触法少年が地方自治体の運営する児童福祉施設で教育を受けている。自治体レベルの福祉施設が当該処遇を行うこと自体は、対象となる少年の帰住先、親・保護者とのつながりの確保、学校・地域とのつながりの確保等を考えると妥当かつ重要なシステムであると考える。これは上記カリフォルニア州のあり方ともほぼ同一である。ただし、教育的処遇のソフトの部分では、わが国では自治体規模の格差もあり、必ずしも子どもの成長に有益なものが提供されているとばかりは言えない実体がある。 そこで最後に、今後の展望として、わが国でもすでに成人刑事矯正施設で始まっている民間資源の活用(PFI刑務所)の是非を検討した。なぜなら、そこでの成果があがっているとすれば、触法少年施設での精神的・医療的ケアー、親子関係回復、学校教育等に活用できると考えたからである。このような民営矯正(刑事・少年)施設がアメリカでは当たり前になっていることを考えると、今後のわが国の触法少年処遇のあり方を模索するうえでも重要な示唆を与えてくれるものと考える。
|
Research Products
(4 results)