2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 克典 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (30283055)
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Keywords | 会社債権者 / 社債管理者 |
Research Abstract |
第1に、会社債権者の保護については、従来の商法の規整と2005年新会社法の規整との間で、大きな相違は認められない。ただし、株式交換・株式移転において、あらたに、新株予約権付社債についての社債の承継が認められ、また、対価として完全親会社となる会社の株式以外のものが認められ、これらの場合に、債権者保護手続が必要とされることになった(会社法789条1項3号・799条1項3号・810条1項3号)。しかし、この相違は、債権者保護が必要とされる基準が変更されたことによるのではなく、たんに、組織再編行為の具体的な方法が増加したことに伴うものであると考えられる。 第2に、社債については、新会社法によって、その発行の機動性が増し(会社法362条4項5号・676条参照)、また、社債管理者が責任を負う場合が拡大された(会社法710条)。このうち後者の責任の拡大の1つとして、社債管理者は、これと特別の関係のある者との間で行為をした一定の場合にも責任を負うとされた(会社法710条2項2号)。ここで、とくに社債管理者が銀行等(会社法703条)であることを考慮すると、特別の関係のある者の範囲(会社法施行規則171条)の妥当性が問題となりうるようにも思われる。 第3に、取締役の対第三者責任については、規定の変更はなく(商法266条ノ3第1項、会社法429条1項)、そのため、会社取締役の会社債権者に対する直接の責任の検討をするにあたっては、従来の判例・学説を分析対象とすることが可能である。取締役の対第三者責任については、会社債権者の保護とともに、会社債権者の会社管理やその理論的背景に応用しうるようにも考えられる。
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