2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530063
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 克典 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 教授 (30283055)
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Keywords | 会社社債者 / 社債 / 金銭借入 |
Research Abstract |
第1に、会社債権者には、各種の態様がありうるが、消費貸借契約における貸主と社債発行における社債権者とは、会社が外部資金を調達する際の債権者であり、会社に対する金銭債権者の典型例として挙げられよう。消費貸借契約に基づく金銭借入と社債発行とは、会社法においては、決定手続や決定事項の点で異なる取扱いがなされている。しかし、両者は、会社に及ぼす法的な影響等からは、決定手続や決定事項に差を設けるほどの相違を見いだすことは難しいと考えられる。むしろ、両者は、外部資金の調達方法という共通する性質に基づいて、会社法において位置付けられるのが妥当であろう(以上について、11.研究発表の今井克典「金銭借入・社債発行に関する取締役会の決議」を参照)。 第2に、会社は、金融機関から貸付を受ける場合には、特約条項(いわゆるコベナンツ)に基づいて、債権者である金融機関に一定の義務を負うことがある。逆にいえば、会社債権者である金融機関は、特約条項を用いて、会社をある程度の管理をすることが可能であるといえる。特約条項違反の効果は、一般には、貸付債務の期限の利益の喪失という法律上の効果や、これを背景とした交渉という事実上の効果である。ここからは、特約条項は、会社管理に関してどこまでをその内容に取り込むことができるかという、特約条項の内容による特約条項の有効性が問題となる。また、特約条項が有効である場合には、会社に生じる効果および取締役の会社に対する責任が、また、無効である場合には、会社または取締役の債権者に対する責任が問題となりうると考えられる。当該事項に関する決定権限の所在のほかに、株主の利益を考慮する必要があろう。
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Research Products
(1 results)