2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金山 直樹 慶應義塾大学, 法科大学院, 教授 (90211169)
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Keywords | 給付 / 契約 / フランス法 / 民法 / 自由主義 / 債務不履行 / フランス民法典 / グローバル化 |
Research Abstract |
今年度は、契約との関係を重視する視線から、とくにフランスにおける契約法の最新の状況を丹念に追跡し、その成果を論文の形で発表した(判タ1183号論文)。むろん、フランス国内の動きとはいえ、やはりグローバル化の影響は無視できない。そのただ中にあって、あるべき「社会像」は揺れており、それを背景にして、契約法も自由主義的な方向と社会連帯主義的な方向の対峙という形で現われている。そして、契約をどのように捉えるかに応じて、給付概念も実質的正義を志向するものと、自由主義的傾向を示すものとに分かれていることを検証した。結論として、フランスにおいては、後者の社会連帯主義的な方向が強い点で、アメリカ的でない、もう一つの途の可能性が開かれているのではないかという感触を得ている。 なお、フランスの契約法の最前線をどう見るかに関しては、報告者は、フランスの教授を招いての講演会でも通訳として確認したところであって(ジュリ1303号論文)、上記の見方を裏書きするような内容であったことを付言しておきたい。それとともに、フランス民法典200年を機に実際に動き始めた民法典の改正についても、現地でのヒアリングを踏まえてその現状と見通しにつき、フォローしておいた(ジュリ1294号論文)。のみならず、これまで契約がどのように捉えられてきたのかを考える出発点として、フランス語の論文を公表した(in : Le Code civil et les Droits de l' homme, 2005)。そこでも「社会」という視線が強く意識されていることを論証している。 研究の本体たる給付概念に関しては、その成果が乏しかったことは認めなければならない。マンションの管理費・特別修繕費債権について、その性質に遡っての検討が必要なことを説いてみたり(ジュリ1291号解説・判時1891号評釈)、また運送契約における運送人の負担する給付の特殊性を債務の一般構造から分析することを試みた(民事研修589号論文)に土と待っているからである。これらも、未だ習作的な域を出ていないことは認めなければならない。
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Research Products
(7 results)