2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530071
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金山 直樹 Keio University, 法務研究科, 教授 (90211169)
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Keywords | 契約 / 給付 / 公益 / フランス民法 / 時効 / 債務不履行 / ネット販売 / 契約責任 |
Research Abstract |
今年度は課題研究の最終年度として、さらに契約と給付の関係に関して、つきつめた考察を行った。 まず、論文としては、第一に、公益論に取り組んだ。契約は、まず当事者の合意によって基礎づけられるが、そこには一定の限界がある。その限界として考えられるのは、公益、そしてその民法的表現たる公序である。そのことを、公益の母国、フランスに即して考察した。そもそも、契約に関する法源としては「合意と法律」があると考えられるが、契約における法律の位置づけの問題を扱ったものということができる(第一論文<<Interet general, pays de Rousseau aujourd'hui>>)。第二に、契約責任の場面での規制のあり方を検討した。これは、第一論文の応用形として位置づけることができる(第二論文「ネット販売におけるサイト運営者の責任」)。そして第三に、より一般的に、債務不履行の場面における慰謝料問題について検討した(第三論文「債務不履行における慰謝料の賠償」)。 学会活動としては、責任者として時効に関するシンポジウムを二回担当した。時効の対象は給付請求権だといえるので、これも本研究の一環として位置づけられる。 著書としては、時効に関するこれまでの研究をまとめた。その中では、契約と時効という視点からの検討を行っている(『時効における理論と解釈』)。時効は、給付レベルで権利行使が阻止される場面だといえるのが、契約の構造によってその諸相は異なっている。そのことを「契約と時効」という視点を前面に出しつつ検討した。 以上の本研究については、その主要なものを収めた論文集を2010年には刊行する予定である。
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Research Products
(6 results)