2005 Fiscal Year Annual Research Report
福祉契約に基づく契約責任と福祉サービス利用者に対する契約法上の救済
Project/Area Number |
17530072
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
笠井 修 中央大学, 大学院・法務研究科, 教授 (00185737)
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Keywords | 福祉契約 / サービスの質 / 契約法 / 社会福祉法 / 自己決定 / なす債務 |
Research Abstract |
平成17年度の進捗状況は、下記の通りである。 1 理論的課題の整理・検討 福祉契約の契約法学上の課題について、下記のとおり順次作業を進めた。 (1)まず、主として社会保障法学の文献研究を通して、下記の点を整理する作業を行い、ほぼ完了した。 (1)社会福祉の理念の契約に対する反映、(2)公共性・倫理性の契約に対する反映、(3)継続的契約性、(4)福祉サービスの質の評価の困難さ(市場原理に対する阻害要因)、(5)消費者契約の側面とそれをこえる問題性 (2)つぎに、これらの特質が契約法上どのような問題となって具体化されるかを順次検討した。 すなわち、(1)福祉契約の成立にかかわる問題点、(2)福祉契約の内容の確定にかかわる問題点、(3)福祉契約における契約違反と「福祉過誤」に関わる問題点、である。 これらにつき、主として、日本法上の問題点については整理を終え、論稿「福祉契約と契約責任」『福祉契約と利用者の権利擁護』(新井誠・秋元美世・本澤巳代子編著・日本加除出版)をまとめた。 (3)契約責任の分析が裁判外の苦情解決制度とのかかわりにおいて果たすべき役割の明確化については、現在検討中である。 2 社会保障法研究者との意見交換 福祉を専門とする社会保障法研究者からの聞き取り・意見交換を行い、福祉契約関する社会保障法学分野での研究の進捗状況につき、その現状把握に努めた。 3 比較法的観点からの予備的作業(文献の収集と分析) ドイツの下記の法律、福祉契約に関する文献を収集し、その内容を把握・分析する作業に着手したが、作業継続中である。収集した資料・データの整理分析のために、謝金によって補助者を利用した。 4 国内における出張調査 予定していた、日本各地の社会福祉施設の訪問と聞き取りは、研究代表者の法科大学院における職務の多忙によって、予定通りに行えなかったが、次年度にその機会を得たい。
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Research Products
(1 results)