2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530077
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田山 輝明 早稲田大学, 大学院・法務研究科, 教授 (30063762)
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Keywords | 民事法学 / 区分所有法制 |
Research Abstract |
平成18年度においては前年度に引き続いて、主としてドイツにおける建物の区分所有法制に関する調査を行った。ドイツでは、2007年中に住居所有権法等の改正が予定されているため、法改正の内容の調査を行うとともに、ドイツにおいてインタビュー調査を行った。2006年12月 日に決議された住居所有権法及び関連法の改正草案は、住居所有権者の合意形成の容易化及び住居所有権事件に関する裁判手続の調和化、管理費を支払う意図のない、若しくは支払う能力のない住居所有権者に対する管理費債権の確保を改正の柱としている。日本においても、マンションにおける管理費の滞納が問題となっているが、ドイツでは改正法により、管理費を滞納する住居所有権者の住居所有権の強制競売手続において、共同体の管理費債権に一定の優先権が認められることとなり、この点が注目される。ドイツでの調査では、ゲッティンゲンの区裁判所において、住居所有権事件の担当の判事にインタビューを行い、裁判所に解決が委ねられる具体的な紛争の内容や、今般の法改正に対する見解等をお聞きした。また、ゲッティンゲンの土地台帳所を訪問し、土地台帳制度の概要や土地登記簿との相違等、ドイツの基本的な土地法制に関する調査を行ったほか、税理士事務所を訪問し、特に住居所有権の取得に際する諸問題に関して話を聞くことができた。 さらに、住居所有権法をテーマとする学会に参加し、ドイツ住居所有権法の改正の行方や、2005年6月にドイツ連邦通常裁判所により示された、住居所有権者の団体に「共同財産の管理について法的取引に参加する」範囲において権利能力を認めるべきとする判断を通じて、ドイツにおける住居所有権概念が変容しているのかどうか、そして変容しているとすればどのようにか、という点について、ドイツ人研究者に質問する機会を得た。平成19年度には、これらの調査の成果について総括を行う。
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