2005 Fiscal Year Annual Research Report
電子的情報の取引及び電子商取引に関わる民事法上の課題に関する研究
Project/Area Number |
17530081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 助教授 (70295731)
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Keywords | 契約 / 消費者 / 開示 / 情報 / 電子情報 / 取引 / 損害 / 賠償 |
Research Abstract |
本研究では主に電子的情報の取引及び電子商取引に係わる契約法、不法行為法を中心とした重要な法的課題について比較法的な研究を行い、国際的に通用する法制度に向けての示唆を行うことを目的とする。具体的にはこの問題に関係する米国における統一コンピュータ情報取引法UCITA(Uniform Computer Information Transaction Act)で提示された諸問題を中心に日本法、米国法、英国法、EU法の比較法的分析を行った上で、この法律がなぜ広く受け入れられなかったのかを考察しながら、国際的に通用する法制度への提言を行うことを目標とする。本年度は、前年度から継続してシュリンクラップ、クリックラップ契約の成立、有効性についての研究を中心に、米国における統一コンピュータ情報取引法UCITA(Uniform Computer Information Transaction Act)で提示された諸問題がなぜ広く受け入れられなかったのかについて研究し、論文を公表した。 論文の内容として、当初予定していた内容に加え、シュリンクラップ契約を巡る紛争におけるUCC第二編の適用およびUCC第二編の改正がシュリンクラップ契約に及ぼす影響、日本法への示唆について本年度追加して執筆することとしたため、より長期にわたる、内容量の多い論文を継続して公表することになった。さらに、電子情報取引における広告、宣伝などを含む表示がいかなる場合に明示の保証とされるかについての論文を執筆しつつあり、春には脱稿予定である。 加えて、電子情報取引契約における契約の成立と消費者保護等の諸問題について再検討するにあたり、契約条項の開示を含めた情報開示、顧客に対する適合性原則など消費者契約において重要な問題について検討する意義を強く感じたため、共同研究調査プロジェクトとして、内閣府の「諸外国における消費者契約における情報提供、不招請勧誘の規制、適合性原則についての現状調査」の企画競争入札に参加することとした。このプロジェクトは2005年12月末内閣府より採用され、その後、直ちに米国における調査を担当し、加えて英国、フランスにおける消費者団体、学者、公正取引委員会などを訪問してヒアリングを行った。調査報告書は3月に提出予定である。この消費者法制についての全般的かつ網羅的な調査は今後の本研究に非常に有意義な影響を与えると思われる。
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