2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子的情報の取引及び電子商取引に関わる民事法上の課題に関する研究
Project/Area Number |
17530081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 助教授 (70295731)
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Keywords | 電子情報取引 / 契約 / 契約責任 / 電子商取引 / 表示責任 / 情報 |
Research Abstract |
シュリンクラップ契約を巡る議論についての論文は、UCC第二編の改正が及ぼす影響、日本法への示唆についても含んだ長期にわたる量の多い論文を三部に分けて執筆した。さらに、英国法における電子情報取引契約をめぐる契約法上の表示責任についての論文を雑誌に掲載した。この論文は、英国法における電子情報取引における広告、宣伝などを含む表示の責任について売買法の新しい動向を紹介しつつ論じたものである。この問題は国内における契約の解釈理論にも示唆を与える点で重要であると思われる。テーマの今後の発展について議論する場として電子情報取引研究会を開始し、「医療情報等特定領域における市場概念と製造物責任の適用可能性」についての報告をしていただいた。今後電子情報取引とPL法との関連で研究を発展させる足がかりになると思われる。 英語の論文としては、Matthew Bender社のKITAGAWA(ed.) DOING BUSINESS IN JAPANに日本の電子商取引に関する法の最新動向について解説する部分を加えて全面改訂を行ったアップデート版を執筆した。 電子情報取引についての法的考察は、専門知識、取引的地位、情報量の格差のある当事者間においての契約、不法行為責任についての法的考察であるという捉え方ができる。去年、内閣府依頼の「諸外国における消費者契約における情報提供、不招請勧誘の規制、適合性原則についての現状調査」を行ったが、今年度は、強迫、不当威圧、非良心性、不実表示、訪問販売に関する法など提供される情報と情報提供の方法を巡る問題について特に詳しく考察し、全体の頁数を3倍以上に増量した論文を執筆し、雑誌に掲載予定である。電子情報取引という当事者の情報量、専門的知識、取引的地位の格差が大きい取引の法的責任について今後総括的に考察していく足がかりとしたい。
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