2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530085
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
伊室 亜希子 Meiji Gakuin University, 法学部, 准教授 (50308136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 隆 関西大学, 法学部, 教授 (40121884)
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Keywords | 民事法学 / 信託 |
Research Abstract |
預り金の管理が(受任者)が破産した場合に、いかなる要件のもとで、その金銭を委託した者を保護できるか、その解決の法理が求められている。また、平成18年12月8日に改正信託法が成立した。改正信託法は、約80年ぶりの大改正であり、本研究課題にも大きな影響を与えるものである。 預り金の信託的管理という問題は、判例では、建築請負の請負代金をめぐる注文者と元請負人との関係において信託法理が使われたことに端を発する(公共工事事件)。預り金の問題は、その他、債務管理、示談金等様々な事件処理のための預り金をめぐる顧客と弁護士の関係(弁護士預り金事件)、保険料をめぐる保険会社と保険代理店の関係(保険料事件)などにおいて、預金債権の帰属という形で争われたが、預金債権帰属アプローチには限界がある。 公共工事事件におけるように、当事者が信託と認識していないにもかかわらず、倒産隔離機能を目指す信託構成を用いることができるメルクマールは何か。それは、預金債権が、一定の目的(信託目的)にしか使われないという使途管理の合意ではないかと考える。具体的に、保険料事件は、旧信託法では信託とは認定すべきではないが、新信託法では、救済方法としての自己信託を認めることにより、信託と認める余地があるのではないかと考える。
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Research Products
(4 results)