2006 Fiscal Year Annual Research Report
政府・利益団体関係の新しい様相とイギリスにおける統治の変容
Project/Area Number |
17530102
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
若松 邦弘 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90302835)
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Keywords | 比較政治 / 政策過程 / 利益団体 / ガバナンス / 民主主義 / イギリス / 西欧 |
Research Abstract |
本研究はイギリスにおける1990年代以降の統治(ガバナンス、governance)の変容を、政策ネットワークとしての政府・利益団体関係の変化を軸に明らかにするものである。この時期の統治の変容は、直接参加の拡大により特徴づけられ、イギリスのみならず代議制民主主義を前提とする先進民主主義国の国家・社会関係一般に通ずる変化を予期させる。 第二年度の本年は、サブナショナルなレベルを対象に、ボランタリー団体の役割と非産業利害に関する政府・利益団体関係の変容を中心に検討した。その過程で、6月、1月、3月にイギリスでの調査(関係機関におけるインタビューと文献資料の閲覧)を実施した。年初の予定では、6月に集中的な調査を実施する予定であったが、諸般の事情により、十分な日程が確保できなくなったため、現地調査の実施を優先する観点から、1月、3月に短期の出張を実施した。 本年の調査に基づき、地域レベルで、ボランタリー・コミュニティ団体を含む、多様な利害の包摂が目指されており、そのための制度導入が議会制度の枠外の協議機関の設置を具体的な形態として進められていること、そしてそれら制度への幅広い利害の包摂は実際に進んでいること、しかしながら、経済団体を中心とする産業分野の既存利害の優越は顕著であり、それは政策執行の面のみならず、部分的には入力過程としての協議の実践においても見られることを明らかにした(現在、論文執筆中) この状況は、代表制以外の新たな回路を通じた新たな利害の参加について、そのアジェンダの幅広い受容と実践の間に乖離が生じていることを示すものである。制度の導入は、政治過程に予期した変容をもたらしていない。
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