2006 Fiscal Year Annual Research Report
経済成長とアジア関与をめぐる戦後日本外交のジレンマ
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17530120
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
波多野 澄雄 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (00208521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 晋 二松学舎大学, 国際政治経済学部, 助教授 (30385968)
池田 慎太郎 広島市立大学, 国際学部, 助教授 (80364107)
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Keywords | アジア外交 / 地域主義 / ナショナリズム / 東南アジア政策 / 南北問題 / 文化交流 / アジア共同体 / 経済成長 |
Research Abstract |
研究目的に掲げた戦後アジア外交をめぐる以下の4つのジレンマについて検討し、諸論点は、波多野・佐藤の共著『現代日本の東南アジア政策、1945-2005』(早稲田大学出版部、2007年7月刊行予定)に展開した。なお、外務省外交史料館職員・高橋和宏を研究協力者として外務省外交史料の検索・収集及び同氏の先行的研究に多くの示唆を得た。 (1)経済的「国際主義」と「地域主義」のジレンマ 池田政権もEECの発展に対応したOAEC(アジア経済協力機構)構想、アジア経済共同体構想といった「地域主義」構想の消長について高橋の協力で佐藤晋との共著(第6章)にまとめた。 (2)経済成長と援助のジレンマ 池田・佐藤政権の財政均衡政策と経済援助政策との関連、及び南北問題を討議した第一回国連貿易開発会議(UNCTAD、1964年)の影響について、高橋の協力で波多野・佐藤晋の共著(第6章)にまとめた。 (3)ナショナリズムへの応答のジレンマーアジアの「成長モデル」としての日本 17年度に波多野が「戦後アジア外交の理念形成-「地域主義」と「東西のかけ橋」」(『国際問題』546号)にまとめた。 (4)「先進国意識」と「文化交流」のジレンマ 経済成長とともに文化交流の必要性を意識した外務当局は、インドネシアなどで巡回映画など日本の先進性をアピールする宣伝活動を展開したことについて、池田が外務省資料の分析を行い、波多野・佐藤の共著の一部で議論したが、適切な資料とインタビュー該当者が存在せず、研究期間内には充分な成果があげられず、なお継続している。
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Research Products
(5 results)