2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物資源の持続的利用と保護、二つの規範の矛盾、対立はいかに克服されるのか
Project/Area Number |
17530122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
都留 康子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30292999)
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Keywords | 海洋法 / 規範 / 環境問題 / 資源 |
Research Abstract |
論文「「海洋の自由」から「海洋の管理」の時代へ」『国際政治』(2005年)では、アプローチとしてのコンストラクティビズムの国際政治理論の中での位置づけを明らかにした上で、コンストラクティビズムが内包する課題でもある規範の変化の動態を、海洋生物資源を素材として考察した。そして、以下、今後の研究の更なる課題ともなる、三つの知見を得るところとなった。第一に、規範が単線的に変化するとは限らず、いくつかの規範が対峙しながら変化していくこと。第二に、他のイシューとの連携が起きることにより、規範変化に影響を与えること(ここでは、環境問題との連関により持続的利用という規範が主流になっていった)。第三に、規範変化の要因として、技術の進歩など物理的要因、途上国の台頭など国際社会の構造要因、さらに、異なる利害関係をもつアクターが意図的に規範変化を生み出そうとする戦略的要因があることである。特に第二の点と第三の点であげた戦略的要因については、環境NGOの台頭により、海洋生物資源の持続的利用から、利用を目的としない保存を戦略においたフォーラムショッピングなどが行われている点を2005年11月に行われた国際政治学会の環境部会で報告を行った。また、海洋問題を直接扱ってはいないが、市民、NGOの規範形成能力に着目し、「地球市民社会とグローバルな社会運動」『地球市民社会の研究』(中央大学出版部、2006年)をまとめた。今年度の研究を基に、さらに規範変化の要因の部分を明らかにし、特に海洋上での安全保障の問題が絡んだ場合にどのような変化が見られるかを来年度の更なる課題としたい。
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Research Products
(1 results)