2007 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物資源の持続的利用と保護、二つの規範の矛盾、対立はいかに克服されるのか
Project/Area Number |
17530122
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
都留 康子 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 教授 (30292999)
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Keywords | 海洋法 / 規範 / 環境問題 / 資源 |
Research Abstract |
本年度は、国際政治学理論における制度論、規範論の動向をサーヴェイした後、具体的事例である海洋漁業資源問題についてどのような制度的、規範的変化がおきているかを細かく検証した。まず、従来海洋法という法分野で扱われ、海洋漁業資源の保存個別の問題として考えられていたのが、1990年代以降環境問題化しておりそのプロセスを1992年の国連環境開発会議議事録などをあたることにより、規範の変化として明らかにした。その上で、各地域的漁業機関がこの影響下でどのような変化を遂げたか、1992年前後の比較検討を行った。また、環境問題化したということは、既存の環境制度との競合関係が問題となることから、ワシントン条約、生物多様性条約締約国会議の創設以来の会議議事録にあたり、特に2000年以降、漁業資源問題が議題として取上げられ、そのことによって、地域漁業機関との調整の問題がでてきており、どのように解決の道が議論されているかを明らかにした。この問題に関しては、5月の世界法学会においては報告を行い、貴重な意見交換などができ、その成果を学会誌に執筆した(なお、2008年3月公刊予定が、学会の都合で遅延している)。海洋漁業資源問題に限らず、あらゆる分野で、いくつかの制度が異なる存立規範に基づき、同一の問題を扱う場合があり、その際の規範の調整の問題は、現在の国際政治理論においても検討課題の一つとされている。事例研究の蓄積が待たれているところであり、本研究はその一助を担うものと思われる。
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Research Products
(2 results)