2006 Fiscal Year Annual Research Report
「政策の失敗」-政策の外部性とその産業間・地域間波及効果のミクロ経済理論的分析
Project/Area Number |
17530139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 弾 The University of Tokyo, 社会科学研究所, 准教授 (30345110)
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Keywords | 理論経済 / 経済政策 |
Research Abstract |
いわゆる外部経済(不経済)とそれに起因する「市場の失敗」、更にはそれを内部化ないし是正すべき政策的介入に関する経済理論的分析の歴史は長く、高名なPigou税の理論にその端緒の一を見る。しかしながら、そのような政策の及ぼす外部性およびその結果いわば二次災害として起こり得るところの「政策の失敗」についての体系立った経済理論的分析は、意外とその蓄積が薄い。初(平成17)年度には先ず、租税理論、財政学、産業組織論、貿易理論などにおける既存文献を、特に政策的外部性という観点から読み直すことにより、これら既存諸論がどのような政策提言に応用可能か、という実用可能性についての用途開発を行うための準備段階を遂行した。 斯かる用途開発が謂わば本計画の「往路」であるとするなら、次にその成果として導き出された政策用途を踏まえそこから遡及的にモデルを建設し直す作業が、本計画の「復路」を形成する。即ち、どのような政策用途(単なる政策効果ないし政策含意と区別すべき点に注意)の実現にはどのようなモデル設定から出発すべきか、という逆引辞典的な理論モデル体系が築かれる。斯くて本(平成18)年度は主として初年度からの宿題、即ち先述のように、本課題初段階で導かれた政策用途から逆に出発して「往路」に対する「復路」を辿り、政策構造を論ずるというリヴァース・エンジニアリングを目するモデルの構築、に充当された。 本年度中に実行予定であった研究の本体は、2回に亘る海外出張・海外共同研究者との研究協力および識見の交換により過半の実現を見た。海外・国内におけるセミナー発表および査読誌への一応の投稿にまで漕ぎ着けた年度後半において而しながら、偶然の契機により新たな知見を得るに到った。この新発見が、執筆中の論文へのかなり実質的な改訂・増補を要するものであるため、再度の研究打ち合わせが不可欠と判断せざるを得ず、研究費のうち海外旅費の一部を繰越(翌債)申請して次(平成19)年度へ延ばし、研究発表もそれまでの間、当面凍結して現在に到った。 以上が平成18年度末に於ける進捗状況であったが、翌債された海外渡航は平成19年度内(具体的には平成20年3月)に無事完了を見ることができ、研究報告をイスラエルのベングリオン大学で3月13日、ハイファ大学で同20日にそれぞれ行なった。
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