2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 康志 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 教授 (40193776)
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Keywords | 積立方式 / 社会保障 / 財政健全化 / 社会保険 |
Research Abstract |
(1)高齢化の進展で増大する医療・介護費用の財源調達の問題を,政府推計を再現するとともに世代間の負担格差を分析できる財政モデルを開発して,分析した。具体的な政策課題として検討したのは,最近の医療・介護保険改革と人口推計の変化が積立型保険への移行に与える影響である。 2005年の介護保険改革,2006年の医療制度改革は,積立方式の移行期の保険料率の上昇幅を大きく抑制することがわかった。2002年と2007年の将来推計人口で比較すると,新しい人口推計のもとでは,均衡財政で運営した場合の保険料負担のピークが上昇するが,積立方式への移行を図ると,人口変動リスクのいくらかを吸収していることがわかった。 具体的な制度設計について,事前積立をおこなう制度を個人勘定とするか,制度ごとの団体型勘定とするか,制度全体の勘定とするか,の選択肢を比較検討した。個人勘定や団体型勘定では,強制加入で定額給付を実現するための所得再分配制度を内包することが困難である。移行費用を抑えて制度全体の勘定を実現するには,リスク調整をおこなう財政調整勘定が同時に事前積立をおこなう方法が有効である。 (2)昨年度までの研究成果を踏まえて,財政の持続可能性を達成するための中期的課題(基礎的財政収支黒字化,債務残高GDP比の安定的引き下げ)における社会保障費用の財源調達と,より長期的な財源調達を包括した分析枠組みを構築した。後者の長期的な社会保障費用と,EUの長期財政推計との対照をおこなった。
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[Presentation] 社会保険料の帰着分析2007
Author(s)
岩本康志
Organizer
日本経済学会2007年度春季大会
Place of Presentation
大阪学院大学
Year and Date
2007-06-03
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より