2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530143
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
常木 淳 Osaka University, 社会経済研究所, 教授 (10207425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹澤 成弘 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90252717)
西條 辰義 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (20205628)
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Keywords | 法と経済学 / メカニズム・デザイン / 経済実験 / 公共工事入札制度 |
Research Abstract |
独占禁止法が強化されてから、公共工事入札における談合の摘発があいつぎ、その結果、公共工事の契約価格が著しく低下しました。公共工事の契約価格の低下それ自体は、歓迎すべきことですが、低下すればするほどよいわけではありません。バブル崩壊以降の不動産価格の低下が、姉歯耐震偽装事件に象徴されるような多くの問題を引き起こしたように、公共工事の契約価格の低下が公共工事の手抜きを引き起こす可能性があります。 このような問題を分析するために、今年は工事受注者が手抜きをする余地がある公共工事入札のオークション・モデルを分析しました。まず、工事受注者が(仕様通りの工事の)費用額、契約価格、資産額、手抜き発覚率、手抜きの罰則金ルールなどを所与とした場合の、工事契約者の最適な手抜き率とそれによって得られる期待利潤を計算しました。ただし、資産額以上の赤字が発生すれば倒産しますので、手抜きが発覚しても契約価格と資産額の合計以上には、罰則金を課せないと仮定しました。すると、公共工事入札において費用額以下の入札を行う可能性があり(スタンダードなオークション・モデルでは、そのような可能性はありません)、資産額が低い企業ほど低く入札して、大規模な手抜きを行うインセンティブがあることがわかりました。また、倒産寸前の企業が2社以上参加する公共工事入札では、仕様通りの工事の費用額と比較した極端に低い入札と大規模な手抜きが均衡になることがわかりました。
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