2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530145
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三浦 功 九州大学, 大学院経済学研究院, 教授 (30239173)
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Keywords | 総合評価落札方式 / PFI / 不完備契約理論 / 入札談合 / 繰り返しゲーム |
Research Abstract |
本研究は,公共調達制度(PFI及び総合評価落札方式)の機能に関して契約の経済学を応用することにより解明することを目的として行われた.まずPFIに関してはプロジェクトにおいて不確実性が存在し,事業者の行動に関して立証不可能な状況が存在するケースを取り上げ,プロジェクトが破綻した場合,事業者による自主再建の可能性が経済にどのような効果をもたらすかを不完備契約理論の枠組みで検討した,その結果,事業者による自主再建が実施される場合には,そうでない場合に比べ,完全均衡下では事業者が低い努力水準が選択される可能性が高まることや自主再建がどのような条件下で社会的に望ましくなるかが明らかにされた. 次に総合評価落札方式に関して述べる,本研究では,加算型による総合評価落札方式について,高品質かつ高価格のケースと低品質かつ低価格のケースでは前者が落札できる(品質を重視する)入札モデルを考え,理論的考察を行った.その結果,技術水準が固定的なケースでは,対称均衡では技術水準に関係なく,効率的な業者は低価格を非効率的な業者は高価格を入札価格に選ぶのに対し,技術水準の高い業者が低品質を選択することで費用削減が可能な場合,対称均衡で非効率な業者ほど低品質を選択する可能性が高まることが示された.加えて,調達者がプロジェクトの品質維持のために技術報酬制度を活用することにより,そうした非効率な状況を改善できる場合があることを明らかにした. さらに,補完的研究として,規制緩和と競争政策及び繰り返しゲームに関して検討した.前者についてはわが国における規制緩和の現状を概観し,次いで独占禁止法による競争政策について,特にわが国の独占禁止法におけ主要規定である「不当な取引制限の禁止」を取り上げながら,検討を加えている.また,後者については無限繰り返しゲームをとりあげ,完全モニタリングのケースと不完全モニタリングのケースにおけるフョーク定理の成立要件についてサーベイを行った,
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