2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530146
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
島田 章 長崎大学, 経済学部, 助教授 (60196475)
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Keywords | 国際労働移動 / 合法外国人労働者 / 非合法外国人労働者 / 2国マクロ経済モデル / 小国開放経済モデル / 二重労働市場 / 効率賃金 / 受け入れ枠 |
Research Abstract |
まず熟練自国人労働者と不熟練自国人労働者が存在し二重労働市場をもつ小国開放経済が受け入れ枠を設けて不熟練外国人労働者を受け入れると仮定し,不熟練外国人労働者の受け入れ枠の変更が熟練自国人労働者や不熟練自国人労働者にたいしておよぼす影響を調べた.そして,つぎのことを明らかにした.まず不熟練外国人労働者の受け入れ枠が増加すると,熟練自国人労働者の雇用量や賃金率が増加する.また熟練自国人労働者1人あたりの予想生涯効用や熟練自国人労働者全体の予想生涯効用も増加する.一方,不熟練外国人労働者の受け入れ枠が増加すると,不熟練自国人労働者の雇用量や賃金率は減少する.また不熟練自国人労働者1人あたりの予想生涯効用や不熟練自国人労働者全体の予想生涯効用が増加するか減少するかは定まらない. つぎに2国経済において,名目貨幣ストックの変更が国内経済活動と国際労働移動にどのような影響をおよぼすかを調べた.そして,つぎのことを明らかにした.まず拡張的な金融政策は,国際労働移動が存在しないばあいと同様に,雇用量や国内所得を増加させる可能性が高い.しかし拡張的な金融政策がおこなわれても,外国人労働者の流入が増加するとはかぎらない.国際労働移動が2国の予想生涯効用の差に敏感に反応しないばあい,拡張的な金融政策は自国人労働者の流出を増加させる. さらに二重労働市場をもち効率賃金仮説によって賃金率が決定される対称的な二国経済を仮定して,非協調と協調のどちらが二国にとって望ましいかを調べた.そして,つぎのことを明らかにした.国際労働移動が2国の予想実質消費賃金率の差にたいして十分敏感に反応するならば,政策当局の効用ばかりではなく労働者の効用も,協調のばあいのほうが高い.
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Research Products
(3 results)