2007 Fiscal Year Annual Research Report
資本蓄積構造と金融システムおよび会計制度の変化の関連についての理論的研究
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17530147
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高倉 泰夫 Nagasaki University, 経済学部, 教授 (20117146)
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Keywords | レギュラシオン理論 / 時価会計 / 金融主導型成長体制 / 外延的成長体制 / 物象化 / 多様な資本制 / 諸勢力の諸関係の集約としての企業経営 / 生産諸関係 |
Research Abstract |
現在のサブプライム問題にいたるまで、現代の資本制経済では金融の世界の拡大とその実物の世界への会計制度あるいは企業経営ひいては賃金労働者に対する影響はこれまで以上に拡大・深化している。会計制度あるいは企業経営に対する影響についての研究はこれまで行ってきた。今年度は、国際的な資本移働が可能な下での企業評価の平準化あるいは株価の連動性に示される状况では、各国の資本制経済の収斂傾向が言われうるが、もし他方で各国の資本制経済が均質化するならば、それは金融の世界において利潤を目的とする貨幣資本の運動にとって、その基盤である実物の世界で、差異がなくなることを意味することになる。むしろ資本の運動は、各国がその生産力の発展において、独自性を保持することを必要とすることを述べたのが、本年の研究成果であった。そのためには、これまでの科研費による資料収集や研究者との面談などは有益であった。 他方で、このような研究成果は、経済の均質化傾向と他方での資本制経済にとっての各国独自の生産力の発展の必要性との関連のなかで、金融の世界の拡大とその影響力が実物の世界へと及んでいることを位置づける作業が次の課題としてある。それは、これまでの経済理論のどれもがその射程の範囲外としている問題である。それは本研究者が依拠しているレギュラシオン理論も同様である。資本制経済が新しい次元に入っている現在、このような諸関連の世界の理論的な位置づけの試みが喫緊の課題であることから今後の研究の持続が必要であろう。
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Research Products
(1 results)