2005 Fiscal Year Annual Research Report
購買力平価による産業連関構造の国際比較 -日中韓米の産業別生産性比較を中心に
Project/Area Number |
17530161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
李 潔 埼玉大学, 経済学部, 教授 (10302506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 弘志 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (70066835)
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Keywords | 購買力平価 / 産業連関表 / 国際比較 / 全要素生産性 / 全労働生産性 / 中国の政府統計 / 中国GDP統計 |
Research Abstract |
全要素生産性と全労働生産性とは直接労働生産性,固定設備生産性,原材料生産性等の各要素生産性を総合した生産性という点で共通である。しかし,両者は(1)産出量および投入量の定義(2)上記3つの生産性を総合するさいのウエイト(3)原材料・燃料,固定設備を供給する部門の生産性変化を考慮しているか否か,の3点において相違しており,総合的生産性の概念,現実的な計測方法において全労働生産性の方が優れていると考えられる。「TLPによる中国の部門別生産性上昇率の計測」では、全労働生産性で,1987-1992年と1992-1997年の2期に関して中国産業別生産性上昇率を計測し,TFPによる計測結果と比較し、この期に関して中国の生産性は確かに上昇していると確認できた.また、「全要素生産性と全労働生産性-それらの共通点と相違点の比較考察及び日本1960-2000に関する試算-」では,日本の1960-2000年の期間に関する産業部門別生産性上昇率を全要素生産性と全労働生産性の両概念に基づいて試算し比較した。計測結果は産出量と諸生産要素投入量に関する定義・データを同じにしても,生産要素投入量のアグリゲート方法の相違及び原材料・燃料,固定設備を供給する部門の生産性変化を考慮しているか否かによって,かなり大きな相違が出てくることが確認できた。 国際比較にとって精度の高い購買力平価を得るためにはできるだけ比較の目的にかない、かつ種々の条件や性質にもとづいた算式を考慮しなければならない。「韓日2000年産業別購買力平価の推計」は,日本を基準国とするパーシェ型、ラスパイレス型、フィッシャー型の日韓購買力平価の推計とともに、産業連関表の国際比較にとってとりわけ重要と思われる基準国不変性、行列整合性等をみたすG-K法による推計を行い、2000年日韓I-0表の実質値の作成を試みた。 中国の統計を利用して国際比較をするために、その統計作成により深く理解する必要がある。中国の中央計画経済から社会主義市場経済への移行は、MPSベースの国民経済計算統計がSNAベースの統計へ移行するプロセスでもある。中国国家統計局の国民経済計算司長としてそのプロセスを指揮する立場にある許氏の「中国の現行GDP概念と93SNAのGDP概念との間に存在する若干の相違」、「中国政府統計の改革」と「中国鉱工業と農業の不変価格表示の付加価値の現行推計方法およびその見直しについて」論攷には、興味深い内容が含まれている。
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