2005 Fiscal Year Annual Research Report
世界的規模で見た所得分布の不平等及び貧困度の変遷とアジアの位置に関する統計分析
Project/Area Number |
17530166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 建夫 岡山大学, 経済学部, 教授 (00150889)
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Keywords | 所得分布 / ローレンツ曲線 / 不平等度 / 世界的所得分配 / 中間的不平等概念 / 世界的貧困 / ジニ係数 / 社会的厚生関数 |
Research Abstract |
(1)本研究を行うためには,可能な限り多くの国について,一人あたり所得・人口のみならず,所得分布データを蓄積することが必要である。筆者はこの作業を従来から行ってきているが、引き続き,世界各国について出来得る限り最新の所得分布を収集し,データの整備充実を図り,次年度以降の研究の基礎とした。 (2)経済的厚生や不平等の観点から異なった所得分布を比較するための計測手法についての基礎研究を厳密な公理主義的アプローチに基づいて行った。近年の研究を通じて一定の成果を得た「中間的不平等概念」(Tateo Yoshida, "Social welfare rankings of income distribution : A new parametric concept of intermediate inequality", Social Choice and Welfare (2005) 24 : pp.557-574)を更に発展させた不平等概念を考察し,現在取り纏め中である。 (3)本研究では,世界的規模で見た所得分布の不平等の推移だけではなく,世界的規模で見た貧困度の推移についても計測を行う予定である。世界的所得分布が推計されていれば,世界的な観点から見た相対貧困率や準相対貧困率という新しい貧困概念を定義することが可能となり,絶対的貧困水準(例えば1日1ドル又は2ドル)に専ら依拠して行われてきた先行諸研究には見られない新しい観点から世界的貧困の実証分析を行うことが可能となる。次年度以降の実証分析の準備として,貧困計測に関する理論的研究論文のサーベイを行った。
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