2007 Fiscal Year Annual Research Report
世界的規模で見た所得分布の不平等及び貧困度の変遷とアジアの位置に関する統計分析
Project/Area Number |
17530166
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 建夫 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (00150889)
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Keywords | 所得分布 / ローレンツ曲線 / 不平等度 / 世界的所得分配 / 中間的不平等概念 / 世界的貧困 / ジニ係数 / 社会的厚生関数 |
Research Abstract |
本研究では世界的規模の観点から所得分布の不平等と貧困の変遷とその要因についての経済統計分析を試みることを目的とする。より具体的には,世界的な規模で所得分布の国際比較を行うための独自のデータベースを整備したうえで,世界的規模で見た所得分布の不平等と貧困水準の推移を計量的に明らかにすると共に,実証研究と平行して,不平等及び貧困度計測手法の理論的・計量的研究を深化させ,実証分析における計測面での方法論的基礎の一層の強化を図ることを目的としている。 (1)このような研究を行うためには,可能な限り多くの国について,一人あたり所得・人口のみならず,所得分布データを蓄積することが必要である。私は従来よりこの作業を継続して行っているが、本年度も引き続き,世界各国について出来得る限り最新の所得分布を収集し,データの整備を図った。 (2)経済的厚生や不平等比較の観点から異なった所得分布を比較するための基礎理論研究を昨年度に引き続き行った。近年の研究を通じて成果を得た非線形タイプの中間的不平等概念 (intermediate inequality concept)をより発展させた「平均所得に依存する中間的不平等概念」の性質に関する研究に力を入れ、成果を2007年度日本経済学会春季大会(2007年6月、大阪学院大学)や大阪大学大学院国際公共政策研究科におけるIPP研究会(2008年3月)等で報告した。 (3)1970年以降継続してデータが得られる世界150カ国余りの所得分布をすべて統合して最新のデータに基づく世界的所得分布を作成し、不平等度の推移を計測した。とくに、中間的不平等を表現するintermediateness parameterの値をさまざまに変化させたとき、世界的規模で見た所得分布の不平等度の推計結果がどのような影響を受けるのかについて検討した。その結果、地球規模で見た世界市民の所得不平等度の推移が用いる不平等概念によって大きく影響されることを確認し、現在論文としてとりまとめているところである。
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Research Products
(2 results)