2005 Fiscal Year Annual Research Report
流域コモンプールを再生する社会起業家のビジネス・モデル
Project/Area Number |
17530180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上田 良文 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (50106788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西崎 一郎 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80231504)
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Keywords | 社会起業家 / コモンズ / 非営利ビジネス・モデル / 流域ネットワーク社会 / 公共財私的供給 / リーダーシップ / 持続可能性 / ミッション |
Research Abstract |
流域コモンプールの非営利ビジネス・モデルを開発することを目指して、本年度は、以下の準備作業を行った: 1.流域コモンプールを民間ビジネスによって保全しようとする全国データの収集し、さらに代表的な成功モデル地域の現地調査とアンケート調査を実施した。このデータ整理と調査研究により、流域社会における流域自然資源の保全が、民間非営利ビジネスによって可能になる条件が明らかになった。特に、矢作川と賀茂川流域社会では、上流森林を自然水販売収益で保全するための条件が明らかになった。また、岩手県では、木質バイオマス事業によって、県内の森林資源が保全できる条件が明らかになった。 2.非営利ビジネスの担い手である社会起業家の理論研究の整理とモデル開発を行い、代表的な研究成果をヨーロッパ進化経済学会、日本公共選択学会、アメリカ公共選択学会で研究発表し、高い評価をえた。とりわけ、組織化能力と管理能力が社会起業家の必須要件であること、それらのコスト負担に対する報酬として社会的ミッションの実現による満足だけでなく、然るべき金銭的報酬が必要であることを、消耗戦ゲームモデルの分析フレームワークで明らかにすることによって、当該分野の研究に新しい知見を提供することができた。これらの理論研究成果は次年度以降の研究の重要な礎石になることを確認できた。 3.シミュレーション分析を行うため、人工知能意思決定プログラムを開発した。 本年度の研究成果をふまえ第二年度となる来年度では、社会起業家の理論モデルと日本各地の実験的なビジネスモデルを結合し、流域コモンプールを社会企業家の非営利ビジネスによって保全するためのビジネス・モデルを開発し、その有効性を検証する予定である。
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