2005 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク産業(信書便産業、電気通信産業等)規制の平行進化に関する調査及び研究
Project/Area Number |
17530182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
実積 寿也 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (20325690)
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Keywords | ネットワーク産業 / 電気通信事業 / 信書便産業 / 需要 / 規制 |
Research Abstract |
平成17年度の研究実績は三つに集約できる。 まず、過去20年間の電気通信事業分野における規制分析については、法改正資料や担当組織についての情報収集を行うとともに、政策目的と主要受益者をメルクマールとして歴史的発展経緯の概念整理を行った。各種資料に基づく検討の結果、わが国の電気通信政策の展開は3つのステージに分類でき、基礎的な通信需要の充足から、高度かつ多様な需要への段階的対応等を経て、近年ではネットワークのIP化を基盤とした高度情報通信社会への実現へと段階的に変遷していることが示された。今日までのわが国の通信政策の成功要因としては、持続的経済成長、緩やかな技術進歩、市場参加者の協調行動の三つが抽出され、時系列モデルによる計量分析の結果もこれら三要因の存在を支持している。これらの分析内容については、産業学会西部部会(平成17年10月)およびRSAI International Symposium(平成18年1月)において報告を行った。 第二は、現在、制度設計中の信書便産業をめぐる分析である。窓口部門分離が、郵便サービスにどういったインパクトを及ぼすのかについてモデル分析を行い、垂直分離を通じて開放されるボトルネック設備を利用した新規参入がサービス利用者にとってメリットを生むためには、料金規制の効率が改善されること、あるいは、競争圧力が高まることが不可欠であり、ボトルネック分離政策と競争促進政策は車の両輪として考慮されるべきこと等が確認された。本結果については、情報通信学会(平成17年6月)で報告を行った。 第三は、通信規制効果の定量的把握のための、通話需要分析である。総務省情報通信政策研究所が実施したアンケート調査等を利用した計量分析により、固定電話と携帯電話の需要が密接に連関していることが明らかとなり、両通話市場を一つの市場と捉えて産業政策・競争政策を検討する必要性が示される結果となった。本結果については情報通信学会(平成17年6月)での発表の後、投稿を行い、情報通信学会誌第79号に掲載された。
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