2005 Fiscal Year Annual Research Report
構造型推定とその応用:規制緩和と自然環境に対する企業間行動の分析
Project/Area Number |
17530186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
後藤 宇生 北九州市立大学, 経済学部, 助教授 (30324841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MCKENZIE Colin Ross 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (10220980)
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Keywords | 実証的産業組織論 / 構造型推定 / 推測的変動 / 石油産業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、経済モデルを直接推定する構造型推定(Structural Estimation)を改良・使用し、規制緩和や環境規制に直面している産業・企業間の経済規範や戦略的相互依存状態の変動を分析することにある。 今年度は、生産量割り当て廃止や石油製品の輸入自由化などの規制緩和に直面した元売(石油業界の上流部門)に注月し、規制緩和過程における各元売間の戦略的な『読み合い』の変化や安定性について検証を行つた。 具体的には、生産量競争モデルを作成し、一階の条件から推測的変動(Conjectural Variation)と推測的反応関数(Conjectural Reaction Function)を導出して、統計解析を行った。推測的変動とは、自分の行動がどのようにライバル企業に影響を与えるのか?に対する自分の予想・期待のことをいう。推測的変動を実証することで、規制緩和に直面した企業間の相互依存状態や経済規範を示すことができる。また、推測的変動を導出する過程で、動学的に企業のお互いの行動の『読み合い』を表現する推測的反応関数の傾きを抽出することができる。 結果として、推測的変動値は、ガソリン市場がクールノー競争と談合環境の間にあることを示した。また、各元売の推測的反応関数の傾きが正となった。つまり、ガソリン市場の経済環境は、戦略的補完性を持つことになる。このことは、生産拡張競争が起こった可能性を示し、更にガソリン価格下落の要因になったことを示す。また、灯油・軽油市場にも適応したが、各市場が戦略的環境であることを確認することができなかった。
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