2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安部 由起子 Hokkaido University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (50264742)
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Keywords | 経済政策 / 女性労働 / 所得分配 |
Research Abstract |
日本における有配偶女性のパート労働供給について、「パートの103万円の年収の壁」が存在するもとでの最適な動学的労働供給の最適解の性質を導出した。その結果のひとつとして、壁の存在が引退を遅らせる効果をもつことを示した。この結果は、静学的労働供給モデルでは得られないものである。 所得分配に関する分析として、妻の就業が家計所得分配に与える影響を分析し、妻の就業は家計所得の分配を小幅に改善しているという結果を得た。 最低賃金制度にかかわる研究をいくつか行った。日本においては、パート賃金の地域差は最低賃金の地域差よりも大きいこと、1990年代の賃金上昇を大都市部と地方部とを比較すると後者でより賃金上昇率が高く、その結果として地域間の賃金格差は縮小したこと、その一方で低学歴の若年男女の雇用は地方でより減少したこと、などがわかった。 日本における女性の就業および賃金等について、地域的な側面を重視した分析を行った。日本においては女性の就業には地域差が大きいこと、また地域変数をどのように扱うかによって労働供給関数のパラメーターの推計値が大きく影響を受けることを集計データから示した。 男女の就業を生年コーホート・学歴別に分析した。コーホート別の分析が女性の就業を理解する上で重要であることは、海外の研究で指摘されてきたが、日本のデータを用いたコーホート分析は必ずしも多くはない。本研究から、男女雇用機会均等法施行後に学校を卒業したいわゆる均等法世代について、大卒若年女性の正規雇用就業が増えたこと、女性のパート就業はより近年のコーホートで顕著に上昇していることがわかった。
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