2005 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の電力取引所における市場支配力および価格変動リスクの評価に関する研究
Project/Area Number |
17530197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
松田 年弘 追手門学院大学, 経済学部, 助教授 (50388401)
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Keywords | 電力取引所 / 市場支配力 / 流動性 / JEPX |
Research Abstract |
1.電力スポット市場における潜在的な市場支配力の推定 電力市場の潜在的な市場支配力の大きさを評価する一つの方法として、Klemperer & Meyer(1989)による供給関数ナッシュ均衡解(Supply Function Equilibrium:SFE)がある。SFEとは事前に需要曲線を予想できない(不確実性がある)市場における寡占解であり、本研究ではSFEを適用して寡占解を求めることができる市場の条件をより明らかにすることができた。 2.JEPX(日本卸電力取引所)の流動性について JEPXは2005年4月から全国大の一日前スポット市場と先渡定型市場を運営しているが、いずれの市場における流動性も欧米の電力取引所と比較すると低い水準にとどまっている。欧米の取引所に上場された電力商品でも流動性の確保に失敗した事例も数多く存在するため、それらの経験から取引ルールと流動性の関係、および電力産業の市場構造と流動性の関係を考察した。その結果、電力産業における垂直統合の程度と長期相対契約による電力調達が卸電力市場の流動性に大きな影響を与えていること、および電力先物商品(電力先渡商品)の最終決済方法を物理的な送電(Physical Settlement)とするか現金決済(Cash Settlement)とするかが流動性に影響を与えていることが示唆された。JEPXの先渡市場の流動性が低い原因についても、わが国における垂直統合の程度、長期相対契約による電力調達率および物理的な送受電を前提とする先渡商品の仕様に求めることができると考えられる。
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