2006 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の電力取引所における市場支配力および価格変動リスクの評価に関する研究
Project/Area Number |
17530197
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
松田 年弘 追手門学院大学, 経済学部, 助教授 (50388401)
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Keywords | 電力取引所 / 流動性 / JEPX / SFE |
Research Abstract |
1.JEPX(日本卸電力取引所)における流動性確保策の検討 JEPXは全国大の一日前市場と先渡市場を運営しているが、両市場の流動性は低い水準にある。昨年度の研究において、流動性が低い原因は期間(先渡)契約の仕様とわが国の電力産業構造に求められることを考察したが、今年度は二つの流動性確保策を案出した。一つは、部分小売自由化が行われている現状をふまえ、非自由化対象の需要家に小売供給をする事業者に電力の経済的調達義務を課すという政策である。この政策は、卸電力市場の「小売事業者が低価格な電力を広域的に調達する場」という役割を活性化させ、非自由化対象の小売料金の低減にも資するという二重の長所を持つ。具体的には、市場価格と対象事業者の稼動電源の可変発電コストを事後的に比較すれば良い(従って、安定供給に必要な原子力発電にも親和的な政策である)。もう一つは、電気事業分科会報告(2003)に基づいてJEPXは自らを「現物としての電気を取引する場」と定めているが、連係線容量の管理に与える影響を考慮しつつ、この考え方を見直すことである(例えば、Cash Settlementによる電力先物の導入を検討する)。電力の期間契約は、原油やガス等の先物契約と異なり、本質的に流動性不足に陥りやすい性質を内包しているので、流動性を向上させる仕様を意図的に用いるのである。詳しくは、国際公共経済研究17号の「電力取引所の現状と課題-流動性の確保をめぐって-(松田、2006)」を参照のこと。 2.JEPXの一日前市場にSFEを適用するための理論的基礎の検討 Klemperer & Meyer(1989)が導入した供給関数ナッシュ均衡解(Supply Function Equilibrium : SFE)は潜在的な市揚支配力を評価する方法の一つであり、SFEをJEPXの一日前市揚に適用するための理論的基礎を検討した。
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